広島・大盛穂外野手(28)が途中出場ながら存在感を放っている。今季はここまで36試合に出場(9日現在)。主に守備固めや代走として起用されている中、緊迫した場面で印象に残るプレーを連発しており、チームにとって欠かせぬピースになっている。その…

 広島・大盛穂外野手(28)が途中出場ながら存在感を放っている。今季はここまで36試合に出場(9日現在)。主に守備固めや代走として起用されている中、緊迫した場面で印象に残るプレーを連発しており、チームにとって欠かせぬピースになっている。その裏には徹底した準備と、研ぎ澄まされた直感力があった。

 緊迫した試合の終盤。大盛が中堅のポジションに就くと、カープ守備陣は一気に引き締まる。数字には表れにくい役どころではあるが、守備のスペシャリストの存在はチームにとって欠かせないものとなっている。

 今季、ここまで全て途中出場。主に守備固めや代走としての起用が続いている。勝負どころでの出番に備えて、序盤はとにかく試合を“見る”ことに力を注いでいる。「相手打線が三巡するぐらいまでずっと見てますね。その日、(各打者は)どういう入り方をしているのか。調子はもちろん、狙う球種や飛んでいる打球方向とか」と、数え切れないほどのチェックポイントを確認し、試合の流れをつかんでいく。

 完璧な準備を経て、いよいよグラウンドへ。もちろんデータは頭に入れているが、「あまり数字(データ)は気にしないですね」と最終的には自身の“直感”を信じてポジショニングを決める。コーチ陣から指示が出ることはほとんどないという。

 代名詞になりつつあるダイビングキャッチにもこだわりがある。「自分の中で『捕れる』と思ったものだけ飛ぶようにしています」と絶対に無理はしない。点差や次打者などを考慮して、ダイビングしないと決めていることも。飛び込んだら絶対グラブに当てる。これが大盛の流儀だ。

 赤松守備・走塁コーチも愛弟子の働きぶりを「ぴりついたところで試合に出るのが彼にとって普通になっているし、そこでしっかり集中できている」と評価している。

 また、なるべく指示を出さないようにしている理由には「僕が一から全部教えて指示を出すこともできる。でも、仮に僕がコーチを辞めたりしていなくなったらどうするんやと。だから自分でしっかり考えなさいと。指示待ちの選手にはなってほしくはない」と選手自身で考えてプレーすることの大切さを説いた。

 8日・西武戦(マツダ)では2年ぶりの本塁打を放つなどバットでもアピール。日に日に存在感は高まっている。ワンプレーが勝敗を分けるようなしびれる場面でも「緊張は全くしない」と言い切る大盛。それは余念のない準備と、ここまで積み重ねてきた成功体験があるから。研ぎ澄まされた感覚と信念でチームを支えていく。(デイリースポーツ・高橋涼太朗)