◇国内女子◇ニチレイレディス 最終日(22日)◇袖ヶ浦CC新袖C(千葉)◇6594yd(パー72)◇晴れ(観衆4060人)追手はすぐそこまで来ていた。4打差の独走で迎えた最終日、7番(パー5)のティイングエリアで入谷響の目にスコアボードが…

◇国内女子◇ニチレイレディス 最終日(22日)◇袖ヶ浦CC新袖C(千葉)◇6594yd(パー72)◇晴れ(観衆4060人)
追手はすぐそこまで来ていた。4打差の独走で迎えた最終日、7番(パー5)のティイングエリアで入谷響の目にスコアボードが映る。すでに2ボギーを打った自分に対し、藤田さいきが2打差まで上がってきていた。「追いつかれる…」。焦りが動きに直結し、この日3つ目のボギーをたたいた。その差は、わずか1打。ほかの選手もジワジワと19歳に迫っていた。
昨年のプロテストに合格したばかりのルーキーにとって、最終日最終組を回るのは4月「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」以来2度目。スタートから喉が渇くほど緊張していた。ショットを左に曲げた出だし1番(パー5)はパーで切り抜けたが、続く2番はボギー。グリーン右脇からチップインバーディを決めた4番(パー3)に続く5番、7番と3パットでスコアを落とした。「少しずつスコアが落ちて、正直怖かった」とつかみかけたタイトルが遠く離れるようだった。
暗雲立ち込める状況だったが、「後半のほうが伸ばしやすいホールが多い。前半は前半で置いておいて、しっかりやっていこう」と歯を食いしばった。折り返した10番(パー5)は1打目を左の林に打ち込んだが、220ydを残した3打目を3Wでピン左1mにつけてバーディ。グリーン右手前のバンカーで目玉になった11番(パー3)のピンチは、上手く出してパーで切り抜けた。「あの2ホールで焦りが少し消えた。流れが変わった」とようやく風向きが変わった。
優勝を近くに感じたのは、15番で後半2つ目のバーディを奪ってから。持ち味のパワーで距離を稼ぎ、ウェッジを握った2打目でピン手前1.5mにつけたものだ。3打リードで迎えた最終18番(パー5)をバーディで締め、長かった一日を終えた。

プレー直後は「『終わった…』っていうホッとした気持ちが初めに来た」と喜びよりも安どが大きかったという。グリーン脇で待機していた同期の都玲華、中村心らが駆けつけてくると、ようやく実感がわいた。
昨年プロテスト合格者で最初のツアー優勝者になった。「(同期たちは)アマチュアの頃から一緒に戦ってきた人ばかり。プロの舞台でもこうして一緒にプレーできて、自分のモチベーションになる。同期が上位にいれば、負けてられないなって思う」と身近な存在が刺激になった。
ゆくゆくはアメリカで力を試したい思いがある。「できることなら来年には行きたいくらい。でも、日本でも活躍したい思いはある。早ければ来年、2年後までには行けるようにしたい」。今日の初勝利はその序章にすぎない。(千葉市若葉区/合田拓斗)