日米大学選手権(7月8~13日・エスコン、神宮など)に向けた「侍ジャパン大学代表選手選考合宿」が23日、神奈川県のバッティングパレス相石スタジアムひらつかで打ち上げられた。大学球界屈指の選手たちが3日間、グラウンドで切磋琢磨(せっさたくま…

 日米大学選手権(7月8~13日・エスコン、神宮など)に向けた「侍ジャパン大学代表選手選考合宿」が23日、神奈川県のバッティングパレス相石スタジアムひらつかで打ち上げられた。大学球界屈指の選手たちが3日間、グラウンドで切磋琢磨(せっさたくま)し、寝食もともに。それぞれが抱いた印象を聞いた。

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 ◆初参加となった東大の下手投げ右腕・渡辺向輝投手(4年・海城)は合宿初日の取材で、同部屋だった北海学園大・工藤泰己投手(4年・北海)とのエピソードを明かした。「『最速何キロ?』って聞いたら『159キロ』って返ってきて『あ、そうなんですね…』って、とっさに敬語が出ちゃった。でも優しそうな雰囲気だなと思いました」。最終日のこの日は、緊張も解けて柔らかい表情。印象に残った選手には青学大・中西聖輝投手(4年・智弁和歌山)を挙げ「ずっと何か食べて、ずっと何かしゃべってます(笑)。イメージ通りで、コテコテの関西人って感じで。すごい良い人でした」と素顔を明かした。

 ◆北海学園大・工藤も青学大・中西の名前を挙げた。「全日本選手権ですごく堂々と投げていたので、ガツガツしていて怖い感じなのかなと…」と正直なイメージを告白。ただ、「話してみたら全然そんなことなくて、フレンドリーで話しやすかった」と好印象を抱いたという。

 ◆その工藤と貴重なつながりを持っているのは、仙台大の大型スイッチヒッター・平川蓮外野手(4年・札幌国際情報)だ。父・敦さんが工藤の母校である北海の監督を務めており、高校時代から互いに知る仲。2日目の紅白戦で対戦した際には左前打をマークし「お互い笑ってました。(工藤からは)『こすいバッティングするな』って言われました」と笑った。

 平川は両打ちならではの“ミッション”も課して今回の合宿に臨んだという。それは、左の強打者である明大・小島大河捕手(4年・東海大相模)の打撃を学ぶこと。「去年の松山合宿で(右打者の)立石(創価大)には聞いたんですけど、左打者には聞けなかったので」と左右それぞれの強打者から極意を学んだ。

 ◆明大・小島は2年連続で代表に選出された。上級生となり「先頭に立ってやっていく意識は去年とは違う」と下級生を引っ張る存在に。印象に残った選手には亜大・前嶋藍捕手(3年・横浜隼人)を挙げ「結構おしゃべりで、試合中とは違うなと。宿舎ではうるさい感じで(笑)」と素顔を明かしたが、プレー面については「肩の強さはすごいので良いなと思いますし、キャッチングにしろバッティングにしろうまいので、見て勉強になりました」と下級生ながら一目置く存在だという。

 また、東海大相模時代の同期である東海大・大塚瑠晏内野手(4年)と再会。「久々で懐かしい。結構しゃべりかけてくれたのでうれしかった」と笑顔で振り返った。

 ◆亜大・前嶋は「亜細亜にいないような投手も受けられて、一つ一つメモを書きながらやっていたので、すごくおもしろかった」と充実の表情を浮かべた。同じ東都リーグの中大・岩城颯空(はくあ)投手(4年・富山商)と同部屋で仲を深めたといい「この3日間で一番しゃべりました。気が合ったので楽しかったです」。ただ、今秋リーグ戦でも対戦があるだけに「受けてみてコントロールが良いなと。チームに持って帰って、勝てるようにします」と話した。

 また、意外性があった選手については東北福祉大・桜井頼之介投手(4年・聖カタリナ学園)を挙げ「強気の投球なのでガツガツしているのかなと思っていたんですけど、おとなしくてシャイな感じでした」と明かした。

 ◆その東北福祉大・桜井頼は「友達の友達で知っていた」という青学大・中西らと話す場面が多く見られた。15日に閉幕した全日本選手権では見事に優勝投手となり、追加招集から代表入りが決定。「みんな球が速いですし体も大きいので、自分とはまた違うなと。いろんなものが見つかった」と刺激を受けた様子だった。

 ◆関西勢から2年連続の代表入りとなった近大・勝田成内野手(4年・関大北陽)は、国学院大・緒方漣内野手(2年・横浜)に舌を巻いた。「2年生ながら考え方が大人で、積極的に質問してくれてコミュニケーションをとれた。自分が逆に学ぶべき事が多かった」と振り返り「打撃では打つべきポイントで打っていて、守備も1球1球、しっかりコミュニケーションをとってポジショニングをしていて素晴らしい選手」と絶賛した。

 意外性があった選手には亜大の的場北斗内野手(東海大山形)を挙げた。「あまりしゃべらないのかなと思っていた」という第一印象から一転、大阪出身同士で「ノリが合った」と関西弁で盛り上がったといい「ツッコんでくれたりして、ええやつやなと(笑)」と明かした。

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 50人が参加した今回の選考合宿から、最終的には26人に代表選手が絞られた。堀井哲也監督(63)は「選考会議では活発な議論が繰り広げられて、非常に悩んだ。苦渋の決断もありました」と吐露。代表入りした選手も、そうでなかった選手も、それぞれが持ち味を発揮し収穫を得た3日間となった。