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 6月27日、味の素ナショナルトレーニングセンターで男子日本代表(FIBAランキング21位)のメディアデーが行われた。

 日本代表は23日から第1次強化合宿を実施。7月に入ると合宿をこなしながら、「日本生命カップ 2025(東京大会)」、韓国遠征、「SoftBank CUP 2025(千葉大会)」で実践を積み、8月5日開幕の「FIBAアジアカップ2025」に挑む。メディアデーの練習には事前に発表されていた18名全員が参加。そのうち11名がディベロップメントキャンプに引き続き招集され、平均年齢23.8歳という若いメンバー構成になった。

「最初は自分の持ち味を出せない時がありましたけど、今は自分の持ち味を出せているので、いい感じではあると思っています。特に今日はドライブやペイントアタックをして、打つところでは打つことを決めていました。ドライブした時の判断を良くすることを求められているので、そこは今日の練習でよくできたと思っています」

 合宿の手応えを語った湧川颯斗(三遠ネオフェニックス)もディベロップメントキャンプから“昇格”した選手の1人だ。富樫勇樹(千葉ジェッツ)と河村勇輝(メンフィス・グリズリーズ)の代表活動参加が不透明な状況で、ポイントガードのポジションには湧川に加え、中村太地(島根スサノオマジック)、テーブス海(アルバルク東京)、ジャン・ローレンス・ハーパージュニア(サンロッカーズ渋谷)、テーブス流河(ボストン・カレッジ)と、180センチを超える選手が名を連ねた。

 トム・ホーバスヘッドコーチは「(アジアカップ予選の)Window2、Window3はシューターが多かったじゃないですか。上手にできなかった。コンボガードのほうが良かった。今回はマコ(比江島慎/宇都宮ブレックス)がいないから、マコのようなドライブができて、3ポイントシュートを打てる選手が必要だと思います」とコメント。“マコのような選手”について聞かれると、湧川の名前を即座に挙げた。

「湧川は面白い選手。身長194センチのポイントガードだけど、パスが上手でシュートもきれいです。この合宿で彼に言いましたけど、『もっとアグレッシブにショットを探して』と。ポイントガードはいるから、コンボガードとして彼の3ポイントシュートを見たい」

夢の五輪出場へ「ようやく第一歩を踏めた」


 5月に21歳の誕生日を迎えた“高卒Bリーガー”は、2022-23シーズンに特別指定選手として滋賀レイクスへ加入すると、プロ1年目の翌シーズンからプレーオフを含めた全67試合に出場。2024-25シーズンから活躍の場を三遠に移した。プレータイムこそ減少したものの、「ディフェンスの部分がだいぶ成長したのかなと思っていて。自分では本当に苦しいシーズンでしたけど、終わってみたらすごく成長できたシーズンだったかなと思っています」と話し、三遠を中地区優勝に導いた大野篤史HCから学びを得たことも明かした。

「今まではバスケットボールを感覚でやってきたので、それを考えさせられました。『もっと頭を使え』と言われてきました。特にリード&リアクト(読みと反応)。三遠でもずっと言われてきたので、そこもキャンプで活きた部分だと思っています」

 湧川の特別指定選手時代を知るテーブス海も「本当に面白い選手」と、ホーバスHCと同様の評価。「サイズがあって器用で、シュートもうまくなりました。すごいですよね、本当に。成長したのは間違いないですけど、(成長するのは)滋賀の時からみんながわかっていました。(それが)時間の問題だというのは。あのサイズで、あのセンスがありましたから。自分自身で作った道だと思うので、本当に正解だったと思います」と続け、後輩に賛辞の言葉を送った。

 2023年1月の滋賀入団会見で、日本代表の中心選手として活躍すること、オリンピック出場などを自身の夢として語っていた湧川にとって、「ようやく第一歩を踏めたという気持ち」。「(選出されたことに)正直、驚きはありました。今までロス(ロサンゼルスオリンピック)に向けた過程は、メンバーに外れたとしても次に活かせればいいという考えでした。けど、強化合宿ではディベロップメントからワンステップ上がったことをやっています。それを経験したことでこれまでの考え方とは変わって、過程を大事にしていかなければいけないと感じました」と明かし、今後のメンバー生き残りへ「絶対につかみ取りたいチャンスです。ディベロップに受かって、そこの気持ちは変わりましたね」と決意を口にした。

取材・文=酒井伸